アンティークのエドワーディアン・ジュエリーの見分け方

 

歴史家、査定人、アンティーク・コレクターにとって、様々な時代やデザインの流行からジュエリーを見分けることは必要不可欠です。ステラ・ターナー FGA GGが、上品で洗練されたエドワーディアン・ジュエリーの世界を紹介し、この時代に特徴的なモチーフについて解説します。  

短かったエドワード7世の治世(1901~1910年)、宮廷ではエドワード王が好んだスポーツを中心としたライフスタイルとデンマーク出身のアレクサンドラ王妃の存在が、1800年代の終わりの流行に新しい風を吹き込みました。それに伴ってジュエリーのモチーフは変化を遂げました。ダイヤモンドを散りばめ、複雑、優雅で均整の取れたレースのようなデザインが流行し、ネックラインや、裕福なシフォンのガウンと「結い上げた」ヘアー・スタイルを飾るようになりました。繊細なスクロール、葉、リボン、ハート、サークル、揺れる垂れ飾り(あるいは、後述するガーランド)、そしてベールのように軽やかなジュエリーは、洗練された新しいスタイルを称えるものでした。

私にとって、エドワード時代のデザインは「凍った瞬間」のように見えます-渦巻き状の動き、かすかな輝き、ゆるやかなドレープ、スクロール、そして揺れ動き、円を描く-それは、ジュエリーが身に着けられ、再び動く時を待つかのようです。エドワード時代の女性らしさ、流動性、繊細さがデザインによく表れています。この時代のジュエリーは基本的に、蝶番、垂れ飾り、花綱、動きを出す構造、流動性、小さく揺れ動く宝石でできた滴で構成されています。

アレクサンドラ王妃は、着け心地はいまいちでありながらも、ファッション性に富み、装飾を施したプラーク(板)のついた「ドッグ・カラー」ネックレスを好み、黒いベルベットを付けて愛用しました。そして、このスタイルは後に6-16列に並べた真珠へと形を変えました-身に着けるのが難しいものです。ドレスのネックラインが変わると、首周りの装飾品にも変化をもたらしました。例として挙げられるのは、リヴィエール・ネックレス-ミルグレイン(ミル打ち)で縁取られた覆輪留めのダイヤモンドが一周したグラデーションの付いた連-であり、これは二本のブレスレットとして着用されることもあります。

ダイヤモンドに「スペクタクル・セット」を施した最長72インチの長い連のネックレスもあります。これは細いワイヤーでダイヤモンドのガードル部分を巻き、脇についた小さな丸カンを隣の宝石につなぐというシンプルな技法です。またラヴァリエールは、デザインが同じパーツから滴状の飾りが下がるように、装飾を施した細い鎖で繋いだネックレスです。ネグリジェ・ネックレスは、二つの飾りが時折異なる長さのシンプルなチェーンで一つのデザイン・パーツからぶら下がったものです。通常、ペンダント(ぶら下がる部分)には、ダイヤモンドがセットされ、彫刻や次第に先が細くなった飾りがあり、繊細にデザインされたチェーンで繋がれています。

ティアラもまたエドワード時代の興味深いジュエリーです。ティアラに似たバンドーはネックレスやブレスレットにも使用することができます-後部にあるネジ穴またはループは、形を変えることができる融通性を示しています。長い真珠の連を束ね、先端にタッセル(飾り房)の付いたソートワールは、首、腰、ボディス(肩からウエストまで)、腕に巻き付けて装いました。ブレスレットには、一周、または上部半周を対称的に繰り返すデザインが用いられました。新しい流行は、先が細くなるデザインをつけた小さなダイヤモンドや色石のブレスレットで、後ろ側で連結金具を繋いだものでした。リングは中央のダイヤモンドの深さが十分に収まるように幅が広くドーム状になりました。

Edwardian Swan Brooch Back by Lang Antiques Gem A Blog Antique Jewellery Vintage美しい白鳥のピンの裏側。エドワード時代に典型的なカリブレ・カットのエメラルドと「スウィングする」ダイヤモンド。

堅いプラチナまたはプラチナを付けたゴールドは、淡くやわらかい女性らしいファッションの色調によく合いました。プラチナは新しい白い金属で、シルバーとは異なり、肌や衣服を汚すことなく、強度があり、最も重要なダイヤモンドを繊細に留めることができました。当初、プラチナはイエロー・ゴールドに接着されました。この技術は新しく、高価でない、価値が認められていない金属に付加価値をもたらしました。

私が見てきたエドワード時代のダイヤモンド・ジュエリーの大多数は、手作り(カット、切断、引き延ばし、引き絞り、組み立て)の作品です。金属を溶かすのには高温を必要とするため、キャストで作ったものは一般的ではありません。イエロー・ゴールドをベースとしたロウを使用しているのが見えてしまうので、エドワーディアン・ジュエリーは通常少ないパーツで組み立てられています。

金属の継ぎ目に見られる黄色味を帯びたロウは、ホワイト・ゴールドが作られるようになった第二次世界大戦後には、白色に近くなり、姿を消しました。さらに、プラチナは素晴らしい金属で-変色しません-変色が見られる場合には、ゴールド、シルバー、プラチナを混合したロウが用いられています。変色や錆は年月が経つにつれて生じるため、そのジュエリーが古いものであることがわかります。金属の磨きなおしは、時に古いものである証拠を取り除いてしまうことがあります。

当時、南アフリカは大量のダイヤモンドを供給していました。第二次ボーア戦争(1899年10月-1902年5月)はダイヤモンドの価格に影響を及ぼしましたが、需要は伸び続けました。この頃になると、ダイヤモンド用の丸い鋸、正確な角度をつけるための固定したドップ(カットするダイヤモンドを保持する締め金)、ブルーティング用の機械の向上と電気によって、カッティングに要する時間を削減しました。これはまた、より輝くラウンド・ヨーロピアン・カットのダイヤモンドを生むことにもなり、マーキーズやペア・シェイプも入手しやすくなりました。そして、カットの際には重量の保持よりも仕上げたダイヤモンドの美しさに焦点を当てるようになりました。

Edwardian Brooch by Lang Antiques Gem A Blog Antique Jewellery Vintageティアラにもヘア・オーナメントにもなるエドワード時代のピン。

後の時代にはシングル・カットのダイヤモンドが過去のローズ・カットに取って代わります。ダイヤモンドを早くカットできるようになり、煌めく17面をもつシングル・カットは、繊細なジュエリーを上手く引き立てることとなりました。小さなスイス・カットとヨーロピアン・カットのダイヤモンドは時代を見分けるのにも役立ちます。エドワード時代の終わりには、オールド・マイン・カットは無くなりましたが、このカットのダイヤモンドは、今もなお新しいジュエリーに再利用されています。

真珠はダイヤモンドに次ぎ二番目に人気があり、エドワード時代のモノクロのスタイルに合っていました。真珠の優美な光沢は、薄手のファブリックと組み合わせると美しく映えました。ぶら下がった滴状の飾りは、まるで水のようにオープン・ワークのデザインに素晴らしい動きの要素を加えました。天然真珠(この時まさに、養殖真珠はかなりの数が市場に登場するところでした)は稀少であったため、3.5mmのシード・パールまたはそれより小さいものは半分で使えるようにカットされ、金属にセットされました。

インド洋やペルシャ湾の海水産真珠はクリーム色~明るいグレー(洗浄に使用する洗剤でグレーになることがあります)で滑らかな表面であるのに対し、アメリカとスコットランドの淡水真珠は白くしわが寄っています。カットしていない大きい天然真珠は、時にボタン型やオーバル型の形状をしています。真円養殖真珠がエドワーディアン・ジュエリーに見られる場合、この真珠は既に取り換えられたものの可能性があります。サファイア、エメラルド、オパール、ルビー、アメシスト、デマントイド・ガーネット、ムーンストーン、ペリドットといった宝石は、周囲を複数のダイヤモンドで飾ったリングに仕立てます-これは、ヘイロー・リングと呼ばれるものです!カシミール産サファイア、ビルマ産ルビー、ロシア産デマントイド・ガーネット、オーストラリア産ブラック・オパールなど、古いジュエリーから宝物を見つけてみましょう。

Edwardian Oval Diamond Brooch by Lang Antiques Gem A Blog Antique Jewellery Vintageエドワード時代の透かし細工のブローチ

とても小さく(1-2mm)真っ直ぐな面をもつ幾何学的な形状のルビー、サファイア、エメラルド、アメシストは、チャンネル・セッティングに合うようにカットされたもので、このカリブレ・カット石はデザインに沿ってセットしていきます。新しく作られた均一な色の合成サファイアやルビーのカリブレ石はエドワード時代後期のジュエリーに見られます。ブラック・エナメルまたはオニキスは、モーニング(喪)・ジュエリーの時代が終わりを迎え、真っ白な見た目にコントラストを与えるものとして使用されました。

プラチナとダイヤモンドでできた中央の装飾は、淡い色の背景によって強調されます。この背景は彫刻したゴールドの土台に透明から半透明のエナメルを施したもので、「ギヨシェ」という技法です。

他にもこの時代の技法にはミルグレインと透かし細工があります。ジュエリー全体が繊細に仕上がり、微小なビーディング加工により金属がデザインに溶け込みます。このミルグレインは鋭い縁を取り除き、滑らかな見た目を作り、ダイヤモンドのきらめきを強調する効果があります。またミルグレインは、透かし細工(ギター・ネックの弦の格子模様のような)と呼ばれるナイフ・エッジのオープン・ワイヤー・ワークをも引き立てます。この細工はデザインに軽やかさを生み、職人の驚くべき専門的技術が際立つものです。

第二次世界大戦後、上品なエドワーディアン・ジュエリーの流行は、最終的にアール・デコの幾何学的、静的、反古典的、建築的スタイルに融合して消えていきました- このアール・デコ・スタイルは瞬く間に人気を博しました。古いものを捨て、新しいものを取り込んだのです。  

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この記事は「Gems&Jewellery」Spring 2019号に掲載されたものです。Gem-A会員の方はこちらのオンラインからもご覧いただけます

表紙の写真:美しい白鳥のピン(正面)。プラチナにセットされたカリブレ・カットのダイヤモンドと「スウィングする」ダイヤモンド。写真提供:Cole Bybee and Lang Antiques。

 

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